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10月のもとで

モスクワから

故意に音信を絶った親友

大学のときの親友。京都の話。時期は世紀をまたぐごろ。

 

彼は神奈川出身の京大生で、学生寮に住んでいた。わたしは立命館大学生だった。

彼は学生劇団を設立し、輪の中心だった。

皮肉ばかり言っていたが、野心を隠しはしなかった。

いわゆる立身出世ではなく、表現者を気取る者にありがちな屈折した上昇志向。それが強烈だった。

わたしは彼の劇団の脚本を書いたこともある。

ともに酒がすきで、昼間から鴨川の岸辺で飲んでいた。しばしば。

 

卒業後、彼は東京の大手広告会社に入社したが、激務のため1年ちょっとで退社。一方、わたしは東京でフリーターをした後、大阪の社員40人ほどの会社で働き、2年後東京の大手近業に転職した。

そのころ、私は彼に女友達を紹介し、彼らは意気投合し、結婚した。わたしはもちろん、結婚披露宴に招かれた。彼は職を転々としたが、東京武蔵野地域の小さな新興企業につとめ、会社員生活を送っていた。東京での付き合いは、続いていた。

 

最後に会ったのは、07年の年末か08年初頭。共通の友人の結婚披露宴の場。

当時、わたしは彼の元カノと付き合っていたが、それを彼には告げていなかった。わたしはその元カノと結婚、披露宴に彼を呼んだがこなかった。

その後、彼を飲みに誘っても、応じなくなった。仕方なく、わたしの友人の妻だけを誘った。彼ら夫婦は、それから1年ほどで離婚した。わたしと彼の元カノ夫婦もその後2年ほどで離婚した。

 

以上が事実関係。以下は、推論。

この経緯をみると、わたしとの付き合いを絶ちたい彼の気持ちは理解できる。

でも、このころ、時を同じくして、ほかの京都の劇団仲間や学生寮仲間との付き合いもすべて、彼は同時に絶っている。つまり、京大時代の友人・知人との交際・音信を絶った。

 

本当の理由はもちろんわからない。彼の心情を推測すると、こんなところだろう。

「おれは優秀なんだ、エリートなんだ。それなのにだれも知らない中小企業で働いているおれを、成功している元京大生たちに見られなくない」

 

当時の交友関係をすべて絶っているので、風の噂さえ聞かなかった。

フェイスブック上で検索してもでてこないが、ブラウザ上で検索すると彼のフェイスブックページがでてくる。劇団仲間の元親友も同様だという。つまり、彼はフェイスブックでわたしや劇団仲間をブロックしている。

きのう、たまたま彼のフェイスブックとツイッターを見つけた。30万をこえるツイート。学生時代のノリや片鱗を感じさせるのは、いい。とても元気で快活そうだ。でも、京都時代や京大の経歴はきれいに抹消されていた。

 

「エリート街道」「将来を嘱望されていた」。こんな経歴を隠したいのか。

 

Aプライドが高い

B自分のなかで考えるところの「社会的地位の低さ」をかつての知人である元エリート候補たち、つまりエリート「社会的地位が高く」なっているかもしれない連中に見られたくない

 

Aをかみくだくと、Bだ。

こんなBみたいな考えを持つって………